Laboratoire d'Analyse Anatomo-pathologique Veterinaire
本来病気の成り立ちを表すものですが、
一般的に「病理検査」といえば、顕微鏡を使った検査を意味します。
動物病院でも糞便検査や尿検査を顕微鏡を使ってやることがありますが、
我々が行なう「病理検査」は、もうちょっと違うことが本業になっています。
それは、体にできたハレモノなどを詳細に検査することです。
病理検査を行なう目的はおおまかに言うと、ハレモノなどが
ガンのような悪いものなのか、あるいは抗生物質などで治るようなものなのか、
といったことを判断することです。
もちろん動物病院の先生の経験や知識でわかることも多いのですが、
その診断をより確実なものとしたり、あるいは短期間で素早く判定するために有効です。
大きくわけると、無麻酔で簡単にできるやり方と麻酔をかけて行なうやり方にわかれます。
無麻酔での方法には日常の診察で行なわれる血液検査のように、
ハレモノにちょっと針をさして、その中に入った細胞などを見るFNAというやり方などがあります。
麻酔をかけてやるやり方はいわゆる外科手術で、ハレモノの全体、あるいは大部分を取ってしまいます。
それぞれに長所短所があります。
先に紹介した「FNA」は、Fine Needle Aspirationの略で、つまりは
細い針で細胞を吸い取ることを意味しています。
この検査で私たちが最も知りたいことは、
ハレモノが腫瘍なのかどうか、また腫瘍だとしたら悪そうなものかどうか、
という所に尽きます。
この検査法の長所は簡単で素早く診断に入れる点ですが、
ハレモノの全体像がわかるわけではないので、確定診断が難しいという欠点があります。
これを踏まえまして、例えば「手術をするかどうか決める」など
次の一手を考えるための手段として行なうと良いようです。
無麻酔でできる検査は他にもいくつかありますので、担当の先生に聞いてみてください。
皮膚にできた小さいハレモノで、動物も大人しい子なら局所麻酔で大丈夫ですが、
診察台で動揺したりする動物であったり、ハレモノが大きかったりする場合など、
多くの場合は全身麻酔をかけなければいけません。
そうしてハレモノ全体を摘出し、顕微鏡レベルの観察を行なうわけです。
この検査では確定診断に到達できる可能性が非常に高いのですが、
だからといっていつもこの検査法から始める、というのも考えものです。
なぜならガンの種類によっては、眼で見てもわからないような小さなガン細胞の集団が
体の中へジワジワと広がっていってしまう性格をもつものがありますので、
外科手術が終わって病理検査をした後にそれに気づくことになりますと、
「もう一度麻酔しなければいけないのか、、、」ということになってしまいます。
そして何よりも、全身麻酔をかけるリスクが心配されます。
できればこの二つの検査の長所短所を組み合わせて、
「ハレモノができたらすぐにFNAをして、悪いようだったら手術してとる」というやり方が
できればいいなと思っています。
検査の方法はまだまだあります。中には高額になってしまうような検査もあります。
当検査ラボでは、できるだけ多くの病めるペットと悩める飼い主さんたちが
気軽に病理検査という診断ツールを使えるようにしたいという点を重要視しています。
設備や費用の問題からここでの検査は無理であると判断された場合は
それが可能な機関へと紹介することが大切であると考えています。
日常生活の中でペットを撫でたりしていて、「あれ、デキモノがある」などと気づきましたら、
すぐに動物病院に行ってみてください。
観察のポイントは例えば以下のようなものです。
動物病院の先生は、その他に性別や年齢などいろいろな観点から診断を進めますが、
飼い主さんでないとわからないこともたくさんあります。
日頃から撫でてあげたりしながらチェックしたり、口の中を見てやったりすることが大切でしょう。
なお病理検査が必要とされた時は、「難波に!」と言っていただきますとうれしいですが、
実際はそれぞれの動物病院でなじみの病理検査ラボがあることが多いようです。
長い関係の中で意志の疎通が培われたりもしますので、
なかなか「では今回だけは難波とやらに送りましょう」というハナシにはならないでしょう。
料金の問題は人間の医療と違ってとてもデリケートな問題です。
近年は「大切な家族なんだからいくらかかっても構わない」
というふうに思われる方も多いのではないかとも思いますが、
やはり診療報酬の話しについては、避けて通れないでしょう。
病理検査の料金については、通院されている動物病院にお伺いください。
当ラボではどの動物病院さんにも同じ値段で診断を提供しておりますが、
動物病院では、検査の方法や使用する器具などでまたさまざまでしょうから、
診察代はそれぞれの病院によって変わるのではないかと思います。
それは他の診療項目についても同じことが言えるでしょう。